OGKを知るチャイルドシート 製品開発秘話
OGKの“想いあるものづくり”を
もっと深く知ってもらいたい
OGKのチャイルドシートを語る上で欠かせない、3人のキーパーソンが集まりました。
譲れないこだわりや試行錯誤の過程から、ものづくりの姿勢が伝わってきます。
商品開発部 課長M.Y.
2012年に入社。自転車用チャイルドシートを中心に、自転車関連パーツの開発を担当。前例のないリアチャイルドシートの企画では、開発だけでなく進行管理から社内外の調整も担う。
商品開発部 新規事業推進室 室長H.S.
2004年に入社。開発部からキャリアをスタート。その後顧客開発、マーケティング、新規事業推進と幅広い領域を経験。現在はシニア・ペット・モビリティなどの新規事業に取り組む。
技術部 次長Y.N.
1991年に入社。開発部でチャイルドシート開発の黎明期から携わり、デザイン・設計を担当。現在は技術部で幅広い知識と経験を活かし、設計・開発・コスト算出などものづくり全般を支える。
開発者たちの歩んできた道
- Mさん
- 商品開発部のMです。主に自転車関連のパーツを担当していて、メインは自転車用のチャイルドシートの開発です。これまで、グリップやバスケット、サイクルトレーラーも手がけてきました。
これまでで特に印象に残っているのは、P社のリアチャイルドシートの企画です。会社としても大きなプロジェクトで、ものづくりの部分はもちろんですが、スケジュール管理や先方の承認、社内試験といったプロセス面が本当に大変で……。そういった段取りを一つひとつクリアしていくのが、一番しんどかったところかもしれません。当時リア用チャイルドシートはなかったので、先方の要望に応え、機能性や構造にこだわって取り組みました。 - Hさん
- 新規事業推進室のHです。私はこれまで、開発、顧客開発、今は新規事業推進室と色々な部署を経験してきました。以前はMさんと同じように、チャイルドシートや自転車関連の商品開発を担当していましたが、顧客開発に異動後は、マーケティング業務と併せて新企画の提案も行っていました。
今は新規事業推進室で、シニア・ペット・モビリティ関連のアイテムを中心に携わっています。本音を言えば、ずっと開発の仕事を続けていたい気持ちもあったんですよね。ただ、当時うちの開発って、自分たちが考えて発売する、いわゆるプロダクトアウト型のやり方だったんですけど、そこに疑問というか、改善すべき点があるんじゃないかとも感じていたんです。顧客開発部に異動したことによって、よりお客様の考え方もつかめるようになったし、結果的には自分としてもプラスになったと思います。 - Yさん
- 技術部のYです。私も、もともとは開発部にいて、チャイルドシートをつくり始めた時から携わっていました。デザインと設計が主な担当でしたね。Hさんの言う通り、当時は「自分たちが良いと思うものをつくる」プロダクトアウトが当たり前でした。
今は技術部で、ヨーロッパ向けチャイルドシートの設計・開発にも携わりながら、様々な設備や原料を駆使して新しいものをつくる仕事をしてます。技術部は4人と少人数なので、「この人がこの製品を担当」というところはほぼ決まっていないんです。設計や開発だけでなく、コストの試算も含めて、製品づくり全体を幅広く見ています。

“これだけは譲れない” それぞれの信念
- Hさん
- 譲れなかったのは「デザインへのこだわり」ですね。RBC011という商品をつくった当時は、従来のイメージを踏襲した実用性重視のデザインが当たり前だったんです。でも私がまだ若かったこともあり、それに物足りなさを感じました。そこで、同じ思いを持った営業担当とタッグを組んで、「子どもをちゃんと運ぶ」ことに特化したデザイン重視のモデルを目指したんです。最初は「こんなの売れないだろう」といった声も社内外でありましたけど、結果的に今ではその形が主流になっているのは感慨深いですね。うちの会社には「やりたい」という強い思いがあれば、「やってみよう」と後押ししてくれる風土があるので、それに支えられてこだわりを貫けました。
でも、今はこだわりを持ちながらも、“現実的にどう形にするか”ってところも求められますよね。Yさんは今、まさにそういう立場なのかなと思うんですが。 - Yさん
- そうですね。私は、今は開発の“受け手側”なので、「依頼されたことは必ずやり遂げる」というところはこだわっています。依頼された機能や形をどうつくり込めるかというのを考えるのは私たち技術部の仕事ですし、製造部と意見がぶつかることもありますけど、良い着地点を見つけるようにしています。
あとは、チャイルドシートをつくり始めた頃の話も印象深いですね。当時は金属と樹脂の組み合わせでつくっていたんですが、錆や溶接不良のクレームが発生して……。「全部樹脂でいけるのでは?」と、SG規格とにらめっこで試行錯誤しながらやっていましたね。今では品質保証体制も整って、私自身もSG規格の委員会に参加して、OGKの強みを活かした提案をすることも増えました。振り返ると、あの頃の試行錯誤が、今の土台になっているなと感じますね。
Mさんは、その“つくる側のこだわり”というより、もっと俯瞰した視点を大事にされている印象があります。 - Mさん
- たしかにそうかもしれません。私の場合は、製品そのものより、つくり方や考え方に対するこだわりが強いですね。ユーザー視点でのものづくりを常に心がけています。その時々で、ユーザー・販売店・取引先など見るべき目線のウェイトは変わることもありますが、共通しているのは「要望以上のものを返す」という意識ですかね。それは会社の理念にも通じる部分ですし、ずっと念頭に置いてものづくりに向き合ってきました。
今は品質保証部や顧客開発部、営業部など、さまざまな部署からユーザーや市場の声が入ってくる体制ができたので、そこから得た情報をもとに改善や新しい発想につなげるようにしています。そしてやっぱり、ここ数年でそういう“つながり”がしっかりできてきた実感もありますよね。 - Hさん
- 本当にそうですね。顧客開発部ができて3年、ようやく他部署とのネットワークも形になってきたなと感じています。開発中に「ユーザー視点ではどうなんだろう?」と疑問が出たときに、ユーザーさんから直接ご意見をもらったり、営業に同行して販売店に行ったりと、いろんな人とつながって情報を得ることができる環境が整ってきました。Mさんが言う通り、いろんな視点を交えながら開発していける環境が整ってきて、本当の意味で“ユーザー視点のものづくり”が実現できるようになってきたなと思います。

試行錯誤の日々と、乗り越えた壁
- Yさん
- OGKはもともと、内製化をすることが前提だったんですが、お客様のニーズや効率化のため、外部調達の必要性が見えてきたんです。結果として、今のヘッドレストの真空成形ライナーの採用に至りました。ただ、まったく知識のない分野に挑戦することも多くて、やっぱり苦労は大きいです。とはいえ、新しいものづくりに携われる楽しさややりがいもありますね。
- Hさん
- 私はあんまり壁って感じたことがなくて。大きな壁はあったとしても、みんなで動けばどうにかなってきた気がするんですよね。なので私自身、壁って聞かれると、正直「納期」くらいしか思いつかなくて。
- Mさん
- 私も、ものづくりの壁はあんまり感じないですね。教育や人材育成は、壁というより課題ですし。こちらのほうが難しいかも。物は試験通せばいけるし、納期も最悪謝れば……。
- Hさん
- さっきYさんが言ってくれたように、新しいことにトライするときは常に“壁”だとは思うんですよ。でも、どんなときもいろんな部署と協力しながら、なんとか乗り越えてきた実感があるからか、「これは無理かも」みたいな重いプレッシャーってあまり感じなくなってきてる気がします。
- Mさん
- たしかに。うまくいったこと、スムーズに進んだことって逆に覚えてないですもんね。
- Hさん
- そうそう。結局、毎回何かしらは起きていて。でも、しっかりクリアしているから「大きな壁」っていうより「一時的な焦り」みたいなことが多いです。たとえば試験がクリアできないとか。そういう焦る場面はあるけど、なんとかなりますもんね。
- Mさん
- 周りもみんなそんな雰囲気ですよね。「今はしんどいけど、そのうち落ち着く」っていう空気があるというか。それがいいのか悪いのかはわからないですけど……(笑)
- Hさん
- でも本当に、Mさんの言う通り、そういう空気がある会社だと思います。みんなで支え合って、協力しながらちゃんとクリアしていける。だから大きな壁も「なんとかなる」って思えるのかもしれないですね。

心に残る“やっててよかった”の瞬間
- Yさん
- いろいろありますけど、最初に思い出すのはRBC-007DXというチャイルドシートをつくったときのことですね。頭部保護用の装置を初めて設計して、それを使ってくださったユーザー様から「転倒したけど、これがあって本当に助かった」という声をいただけて、すごく嬉しかったです。あとは、街で自分の設計した製品を見かけると、やっぱり誇らしい気持ちになりますね。技術的なところだと、設定した目標値を達成できたときなんかも嬉しいです。
- Hさん
- その気持ち、すごくよくわかります。私もYさんと一緒です。イベントの時に、たまたま通りかかった方が「転倒したけど、OGKのチャイルドシートのおかげで助かりました」とわざわざ伝えに来てくださって。それが本当に嬉しかったですね。ここまで熱く伝えてもらえることって開発側はなかなか経験できないので。直接そういう声を聞けた瞬間は格別でした。Mさんはどうですか?
- Mさん
- 私は、仲間がつくった製品を街で見かけた時が一番嬉しいです。自分が関わったものだとつい気になるところを探しちゃうんですけど、仲間の製品だと純粋に「よし、頑張ってるな」って。最近は街中で見かける機会も本当に増えましたよね。そうやって少しずつ、うちの製品が暮らしに根付いてきたんだなと実感します。
- Hさん
- あ、ちょっとだけいいですか?今のMさんの「暮らしに根付いてきた」で、ひとつ思い出したんですけど……。有名なアニメ作品の劇場版だったかな、作中の駅のシーンにうちのチャイルドシート付き自転車が停まってるんですよ。
- Yさん
- 私も少年漫画の人気作品で見たことあります!
- Hさん
- 私たちが手掛けた商品がチャイルドシートの代名詞のような存在になって、それが描かれてるっていうのはすごく嬉しかったし、感動しました。細かく描かれてるわけじゃないんですけど、間違いなくうちのデザインなんですよね。日常の中に自然と溶け込んでいて、代表的な存在として選ばれてるって感じると、やっぱりやってきてよかったなって思います。
- Yさん
- それはわかるなあ。私もこの会社に30年いますけど、昔はOGKって何の会社か知られてなかったんですよ。でも最近はOGKのロゴ入りの服を着て東京の展示会に行くと、全く関係ない業種の人にも「OGKさんですか?」って声かけられることが増えて。医療展でも農業展でも、ですからね。認知度が上がってきたのを実感できるって、やっぱり嬉しいです。

OGKのものづくりを未来へ
- Mさん
- うちの会社の一番の強みは、プロダクトアウトの発想で新しい文化や価値を生み出すことだと思っています。単なる製品開発ではなく、チャイルドシートの新しい文化をつくるという意識でやってきました。これからも社会にとって役に立つもの、便利で安心できるものを生み出していきたいです。
自分たちの仕事が社会の役に立っている実感や、働きがい、生きがいを感じながら、楽しくものづくりができる環境だと思います。そういう会社に興味がある方、ぜひ一緒に働きましょう! - Hさん
- OGKは新しいことにどんどん挑戦できる環境があって、それをサポートしてくれる仲間もたくさんいます。そして何より、うちのものづくりは社会の課題を解決することに直結しているので、そこに関わることはやりがいにもつながると思います。今、私はシニアやペットなど、新しい分野の課題解決にも取り組んでいます。困っていることを見つけて改善する、全力で取り組むということを楽しみに感じています。
挑戦したいという思いがある方と働きたいと思っています。一緒に楽しんでやっていきましょう! - Yさん
- 2人と同じで、まずはものづくりを楽しんでほしいというのが一番です。うちの会社はただ言われたものをつくるだけではなく、自分から提案もできる環境です。そして、つくったものに対するユーザーの声もいろんな部署を通じて聞くことができます。なので「自分たちのつくったものがどのように使われ、役立っているか」といった点に興味を持ってくれる人が来てくれたら最強ですね。そんな仲間と一緒に挑戦を続けていきたいです!
